日本のミュージシャンと世界市場とをつなぐ架け橋に

ネオ・ミュージックプロダクション
代表
波多野 裕介氏

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香港で会社を設立し、音楽提供とミュージシャン派遣を手掛ける

Q. まず、ネオ・ミュージックプロダクションについて教えてください。

ネオ・ミュージックプロダクションは音楽事業を手掛ける会社で、2012年に香港人の妻とともに香港で設立しました。

事業内容は2つあり、ひとつは音楽家として活動している私が制作する楽曲の提供、もうひとつがミュージシャンの人材派遣です。人材派遣では、会社のイベントや結婚式等にミュージシャンを派遣しています。現在、数十人のミュージシャンと契約しており、色々な国籍の方がいます。

Q. 日本法人も最近設立されたのですね?

日本法人は2022年末に名古屋で設立しました。香港と会社の立ち上げ方が違うため、日本法人設立の際は右も左も分からない中、グレーター・ナゴヤ・イニシアティブ協議会(GNIC)の方にサポートしていただき、とても助かりました。

正直なところ、プレイヤーとして多忙なため、まだ本格的な活動はできていませんが、それでも2023年には東京、名古屋、大阪の3都市でライブを実施しました。元々、日本との関わりは薄かったのですが、コロナ禍で配信アプリを使ってピアノ演奏を続けたことで日本ファンも少しずつ増えてきました。ライブを通じてそうしたファンとも交流ができました。

Q. 波多野さんご自身の、音楽家としての活動についてもう少し教えてもらえますか?

主に映画音楽やゲーム音楽の編曲を手掛け、日本人作曲家として最年少で香港の金像賞(香港アカデミー賞)を受賞しました。ジャッキー・チェンなどへの楽曲提供もしています。

音楽家というと、幼少期から音楽の英才教育を受けて育つイメージですが、私が子どもの頃に音楽に触れたのは、7〜10歳の頃に習ったピアノくらいでした。父の転勤に伴ってマレーシアで暮らしているときに趣味で作曲をスタートし、その後、進学したオーストラリアの大学で本学的に音楽を学びました。

Q. 名古屋にはどのような印象をお持ちですか?

とても良い印象を持っています。10代の頃に名古屋に転校してきたときは、名古屋市近郊のインターナショナルスクールに通っていました。クラスには帰国子女や外国人が多く、すんなりと受け入れてもらえてありがたかったです。

大人になってあらためて名古屋を訪れると、子どもに優しい環境なのに気付かされました。ショッピングモールなども子供連れで長居しやすく、居心地が良い。子どもに対してフレンドリーな町という印象です。

名古屋の魅力は立地の良さと「港気質」

Q.ビジネスをする上での名古屋の魅力はどこにあると感じますか?

ひとつは、やはり東京と大阪の間にあるというアドバンテージが大きいですね。日本中のミュージシャンと交流して架け橋になっていきたいと思っているので、名古屋の立地はとても魅力的です。

もうひとつ、私は「港気質」と呼んでいるのですが、私自身も海外から来て温かく受け入れてもらえたように、名古屋には新しいものを受け入れやすい気質があると思います。名古屋めしもそうした気質が生み出した魅力ではないでしょうか。天むすだったり、味噌煮込みだったり、ユニークな名古屋の食文化は、日本を訪れる香港の友人にもおすすめしています。

Q. 日本法人を立ち上げる際に行政からどのようなサポートを受けましたか?

日本法人の立ち上げにあたってはGNICの支援を受けました。法人設立の方法が香港は異なり、当初はまったくの手探りでした。そのような中で、手続きのサポートや司法書士の紹介、補助金のサポートなどを受けることで、円滑に事業をスタートできました。新規で海外企業がビジネスを立ち上げやすい環境が整っていると感じました。

自身のルーツである日本の魅力を海外に広めていきたい

Q. 今後の日本での展開について教えてください。

日本の音楽は演奏家も録音もレベルが高く、海外にも多くのファンがいます。一方で、日本の音楽業界は閉鎖的で、海外に対してあまり開かれていません。言葉のハードルもあります。実際、私が「三國無双」の映画音楽を手掛けた際、日本のミュージシャンとコラボしましたが、最初はどのようなルートでどう依頼したら良いのか分からずにもどかしく感じました。私たちの会社が日本と海外市場をつなぐ架け橋になり、日本のミュージシャンが世界でより活躍していけるようなきっかけになれれば、と思っています。

また、一音楽プレイヤーとしても、日本の魅力を広めていきたいと思っています。私は、アメリカで生まれ、海外で生活していくことによって、ルーツとしての日本を強く意識するようになりました。無謀な夢かもしれませんが、キャンピングカーに乗って、日本中を旅しながら、日本の名所を舞台にピアノ演奏をするような活動をしてみたいです。すでに音楽配信にはフォロワーが付いているので、音楽とあわせて日本の名所の情報についても発信していきたいです。

今後は、日本の編曲家とコラボして英語で紹介していくような活動もしていきたいですし、まだ詳細は決まっていませんが、2024も日本でのライブも計画しています。